2022.06.10 Fri

クチポール製品のめっきの秘密と修理について

クチポールはサステナビリティという観点も大切にしています。
(クチポールのサステナビリティについて、詳細はこちら>)

今回はクチポールのめっきについて、新潟燕市の有限会社スワオメッキ様にお話を伺いました。

スワオメッキ鈴木常務

インタビューに応じていただいた鈴木常務

 

◆ クチポールのめっきについて

――さっそくですが、専門家の目でご覧になってクチポールのめっきはどうなんでしょう?

業務用の金めっきの厚みは、だいたい0.06ミクロンですが、クチポールは0.1ミクロン以上あります。厚みがあるので高級感がありますし、きれいに長持ちしますよ。前から思っていたのですが、クチポールはつや消しが綺麗ですね。やわらかくて重厚感がある仕上がりなので、落ち着いていて上品な印象が残ります。とてもいいめっきだと思いますよ。

(新シリーズの銀めっきをお見せする)

GOA銀めっき

GOA銀めっき

(銀めっき詳細はこちら>)

これは銀めっきですか。厚みは40ミクロン?ふつうの業務用は3.8ミクロンくらいですから、相当豪華ですね。しっかり厚みがあるので高級感がありますし、やわらかい光沢でとっても美しいですね。

――ありがとうございます。専門の方にコメントをいただき、とっても光栄です。
とはいえ、めっきなので使っていると変化しますよね?

クチポールはゴールドもシルバーもきっちり厚みのあるめっきなので、そんなにすぐに変色する心配はないですが、それでも、使い方次第というところはありますね。変色を遅らせるとしたら、水分をきっちり拭き取ることです。濡れたままにしておくと、そこから変色が始まってしまうので、使ったあとは中性洗剤で洗って、柔らかい布巾またはタオルですぐに拭き取ることが重要です。それと、金属同士は硬すぎてスレやすいので、なるべく重ならないようにするのがいいと思います。
よく「食洗機で洗うのはダメですか?」と聞かれますが、食洗機は問題ないですよ。ただし、洗浄が終わったらすぐに乾かすといいでしょう。
特に、銀めっきは使っていくうちに変色します。一方でその変化を楽しむこともできるのではないでしょうか。仮に変色した場合も、銀磨き剤をご紹介できますのでお問合せください。

――クチポールのめっきは丈夫、起きる変化も風合いになりうるということですね。
とはいえ、「使っているうちに」ということは口の中に入れているうちにも微妙な変化があるのでしょうか?めっきの成分は食べてしまっても問題ないのでしょうか?

口の中での心配は全くいりません。しかしながら、もしもめっきが剥げ、万が一それを食べたとしても、身体に害はないとあらゆる文献に記載されています。金箔つきの食べ物やお酒があるぐらいですので大丈夫です。ちなみに、弊社が扱っているめっきも食品衛生法試験にて口に入れても安全という結果が証明されています。

――よかったー。

一番のポイントは、先ほどお話したように湿気と水分です。使ったあとはすぐに洗って、洗った後は水気をふき取ることを習慣にしてもらえれば、長い間美しい光沢が続きますよ。

――PVDコーティング(ブラック、シャンパンゴールド、アンバーゴールド)についてはいかがでしょうか?

PVDは通常のめっきと全然違う設備・材料を使う、全く異なる種類のめっきです。弊社ではPVDは扱っておりません。そもそもPVDは修理には向いていませんが、通常のめっきと比べると耐久性があります。使い方については、他のカトラリーと同じく使ったらすぐに洗って乾かすことが大切です。

 

◆ めっきの修理について

――このたび御社にご協力をしていただくことにしたのは、クチポールを末永く、何十年何百年と使い続けていただきたくて、そのための選択肢を増やせないかと思ったからです。先ほど「変化も風合い」というお話もありましたが、一方で、新品のようにきれいに修理をして使い続けるという選択肢があっても良いのではないかと。

そうですね。使い続けるというのは、今後も世界的なテーマです。めっきをかけ直すというのもそのための選択肢として検討していただきたいですね。古くなったら破棄するのではなく、SDGsにも繋がる修理めっきでカトラリーをリユースする形が弊社の強みでもあります。

――そうなんです。でも、日本からポルトガルまで輸送して修理をするというのは現実的ではありません。そこで、クチポール社とも話をして、日本で安心してお願いできるところはないかと探したところ、スワオメッキ様と出会いました。実際に御社に何本も修理していただいて、それをクチポール社が確認して「こんなにきれいに直してくれるのは素晴らしい」ということで、世界初の公認の修理工場になっていただきました。

クチポール社にもきちんと認めてもらえて光栄です。今後も技術力、品質向上に努めていきます。それと、新品同様にきれいに修理できるのですが、弊社のめっきは実はそれだけではなく、抗菌・抗ウィルスの効果もあります。研究所で検査もしていただき、きちんと証明されています。

――御社のめっきは菌がつかないということですか?

ついても菌が増えず、減っていくということです。この表を見てください。大腸菌も黄色ブドウ球菌もどんどん減少していって、6時間後には99.3%もなくなっています。インフルエンザウィルスについても同様です。なので、安心安全に使っていただけます。

――どうして抗菌効果があるのですか?

例えば銀めっきで説明すると、めっきの表面の銀イオンが、反応して菌増殖の抑制につながっています。よく薬局にある銀イオンスプレーも同じで、銀イオンが菌を増殖抑制し、消臭効果などがあると言われていますよね。

――どのめっきでもそういった効果があるのでしょうか?

弊社で扱っている金、銀、ピンクゴールド(金と銅の合金)に実際に抗菌抗ウィルス性があるのかを研究機関に依頼して、証明されたので公表させていただきました。世の中には、金、銀、ピンクゴールドは相当な種類の液組成の違う薬品が存在していますので、他社様のめっき全てが、弊社と同じ抗菌抗ウィルス性の結果がでるとは考えにくいです。証明は大事だと感じています。

抗菌抗ウィルス性データ 詳細はこちら>

――へぇー。ということは、修理をして美しいまま使い続けることができるだけでなく、プラスαの効果もあるということですね。
実際にどのような工程で修理されるのですか?

まずはめっきを剥いでステンレスの素地の状態を確認します。マット感が薄くなっていたら研磨をかけて、元の状態に近い状態にします。マット感が残っている場合でも、スコッチ仕上げという方法で調整します。めっきで大切なのは素地をきれいにすることです。よって、状態をしっかり確認して元のようなきれいなマット感を出したあとに、めっきをします。

洗浄

洗浄の工程

磨き

洗浄と磨きはとても大切な工程です

検品

ひとつひとつ磨きながら最終検品をします

 

――修理には何日くらい掛かりますか?

時期にもよるのですが、数本~10本程度でしたら2週間以内には対応させていただきます。100本以上の場合は1か月かかってしまうこともあります。1本でもお受けしますよ。掛かる費用は修理費用と往復の送料です。弊社は、TSO(燕市ものづくり品質管理制度。受注から納品にいたるまでの現場の管理を徹底するための第三者認証制度です。詳細はこちら>)を取得しているので、現場管理も含めて安心してご依頼いただけると思います。

――ちなみに、剥がしたあとのめっきはどうなるのですか?

全部再利用しています。ですので、カトラリー本体も新品同様にしてずっと使用できますし、修理のときに剥がしためっきも再利用されているので、どの部分も使い捨てにはならず安心してお使いいただけるかと思います。

――それを聞いて安心しました。どのように依頼をすればいいのでしょうか?

弊社に直接ご連絡ください。掛かる費用としてはめっきの修理代と送料です。カトラリーの種類と本数にもよるので、ご連絡いただければご案内いたします。

 


クチポールめっき修理連絡先

スワオメッキ(有)

〒959-1289 新潟県燕市東太田6196-1

TEL:0256-66-2113 FAX:0256-63-3583

E-Mail:suwao@suwao.co.jp

またはHP:http://www.suwao.jp/ のお問合せページよりお問合せください。

担当:常務取締役 鈴木康仁または専務取締役 岡田吉晴


 

クチポールのめっきは厚みがありきれいに仕上がっています。長く使っていく間に起きる変化も自宅ならではの風合いとしていただける一方で、新品同様にする修理も選択肢としてお持ちいただけるかと存じます。

優れたデザインのものは長く愛用できます。長く使えることは資源を守り、環境を守ることにつながります。クチポールは、日々のテーブルから、サステナブルな社会に貢献できればと考えています。

 

※めっき修理によってナイフに印字されているロゴが見えなくなる可能性があるとのことです。了承ください。ご依頼の際、気になる場合はスワオメッキ様に直接ご確認ください。

※クチポール公認のめっき修理ですが、抗菌などの機能も追加されるためクチポール純正めっきとは異なります。ご了承ください。

※ステンレス部がゴールドめっきのアイテムの修理のみとなります。PVDコーティング(ブラック、アンバーゴールド、シャンパンゴールド)のアイテムの修理はできません。

※スワオメッキ様ではクチポール製品の本物/偽物の判定はしておりません。

※模造・類似品が修理によって正規品となることはありません。

 


――最後に……

めっきをする際、「治具」という製品を支える道具が必要です。スワオメッキ様には200種類以上の治具があり、ネジのような小さいサイズから畳一帖分のサイズまで、さまざまなアイテムにきれいなめっきができるそうです。もちろん、クチポールどのサイズのカトラリーにも対応できます。

治具

スワオメッキの治具